シェンゲン協定に参加する国々(シェンゲン領域)での国境管理を廃止し、シェンゲン領域外から域内に入る渡航者に対し、共通のビザの発給基準を定めたものです。
シェンゲン協定は2017年4月現在、EU加盟28カ国内の22カ国と欧州自由貿易協定(EFTA)加盟4カ国の計26カ国で適用されています。領域内では、EU市民であるかEU域外国の人であるかにかかわらず、パスポートなしでの自由な移動が原則的に認められます。(とはいえ、公的な身分証明書であるパスポートは常に所持することをお勧めします。)シェンゲン領域に入域・出域する際には国境検査を受けますが、いったん域内に入ると域内の国境を超える際には検査を受けません。
シェンゲン協定国 (2017年4月現在)
シェンゲン領域内の自由移動の対象には、外国人の短期滞在者も含まれます。日本のパスポートをお持ちの方が、シェンゲン領域に短期での観光、出張、訪問等の目的で滞在する場合、「あらゆる180日の期間内で最大90日間」ビザ無しの滞在が許可されています。ただし、シェンゲン領域からの出域予定日からパスポートの残存期間が3ヶ月以上あることが条件です。
「あらゆる180日の期間内で最大90日間」とは、どういう意味でしょうか。少し難しいように思えます。これは、過去180日以内の域内の滞在日数はすべて短期滞在の期間として通算され、複数のシェンゲン協定国での滞在、トランジットでの通過、および帰国を挟んだ複数回の訪問も含まれるということです。計算が難しいと思われる方、安心してください。シェンゲン領域での短期滞在可能日数を算出できるツールが欧州委員会より提供されています。
参考:European Commission Short-stay Visa Calculator
これは、過去の域内滞在日数を入力することで、簡単に滞在可能日数の算出が可能となっています。あくまでも滞在可能日数の目安ですので、必ずしもその日数の滞在が保証されるわけではない点、ご留意ください。
*日本国籍の方でも短期滞在の上限日数を超える滞在や、観光や出張以外の目的(居住、家族の呼び寄せ、大学等での就学や研究、賃金を伴う労働)で滞在される方は、別途ビザが必要になります。
*ビザ取得の有無は国籍により異なります。
*詳細は、各滞在国の駐日大使館領事部や総領事館へお尋ねください。
参考:駐日欧州連合代表部の公式ウェブマガジン「EU内の自由移動と査証について教えてください」
テロの脅威や難民問題、経済危機など、混乱する世界情勢の影響で、EU(欧州連合)の存続が危ぶまれる声が聞こえてきています。EUは、移動、居住、働くことの自由を目標に、規制緩和やボーダーレス化を進めてきましたが、変化の時を迎えています。難民の大量流入により、シェンゲン協定で撤廃された域内国境での検問を一時的に復活させる国も出てきています。2016年6月、イギリスのEU離脱の決定がなされたことは記憶に新しいですが、EUという国家共同体が変化し、EU内の経済・政治的枠組みが変化するとともに、シェンゲン協定も見直される日が来るかもしれません。
旅行業の一端を担う我々としては、国境間の往来に制限が増えることは、あまり喜ばしいことではありません。人々が安全に自由に国境を行き交うことができる世界が、いつの日か現実になると嬉しいです。シェンゲン協定の今後に注目です。
更新:2017年4月17日
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